
松本清張の小説『顔』のあらすじを教えていくよ。
この物語は、東京の劇団「白楊座」に所属する井野良吉という役者が主人公なんだ。
ある日、井野は映画の端役で出演したんだけど、そのニヒルな風貌と個性的な演技が認められて、突然スターになるチャンスを掴むんだ。
でも、井野には大きな秘密があったんだ。9年前、彼は恋人だった山田ミヤ子という女性を殺害していたんだよ。



どうして井野さんはミヤ子さんを殺害したんですか?
実は、ミヤ子が妊娠したと井野に告げて、結婚を迫ったからなんだ。井野はそれを邪魔だと感じて、ミヤ子を殺害することにしたんだよ。
さて、問題は殺害現場に向かう列車の中で、ミヤ子の知り合いである石岡貞三郎という男に目撃されてしまったことなんだ。
井野は9年間、石岡の動向を調べ続けていたんだけど、今回の映画出演で全国的に顔が売れることを恐れていたんだ。



9年も経っているのに、石岡さんは井野さんの顔を覚えているんでしょうか?
そこがこの物語のミソなんだよ。実は、石岡は井野の顔を覚えていなかったんだ。でも、井野はそれを知らなくて、石岡を京都に呼び出して殺害しようとするんだ。
ところが、偶然に出会った石岡が井野の顔に気づかなかったことで、井野は安堵して殺害計画を中止するんだ。そして、映画スターとして脚光を浴び始めるんだよ。



それで、結末はどうなるんですか?
映画が公開されて、それを見た石岡は、井野の些細な仕草から、自分が目撃した殺人犯が井野であることを思い出すんだ。
つまり、井野が恐れていたことが現実になってしまうんだよ。
この物語は、人間の欲望や恐怖、そして過去の罪から逃れられない運命を描いているんだ。井野は成功を掴みかけたところで、自分の過去に追いつかれてしまう。松本清張らしい、人間の心理を巧みに描いたサスペンス作品なんだよ。



松本清張の小説『顔』のあらすじをまとめるね
松本清張自身がこの作品について興味深いコメントを残しているんだ。彼は「顔」というタイトルに二つの意味を込めたと言っているんだ。
一つは、主人公が映画スターとして成功する「顔」。もう一つは、彼が隠し持つ「暗い過去」という意味での「顔」なんだ。
この小説が1956年に発表された松本清張の初めての推理小説で、彼のキャリアの原点とも言える作品だということも覚えておいてね。これまで何度も映画やドラマで実写化されている人気作なんだ。

